女性の社会進出を進める取り組みは1970年代から始まりました。それ以前に欧米各国でなされていたウーマンリブ運動が日本に入ってきた形です。この時期は労働力人口比率が最も下がっていたタイミングでした。戦後、サラリーマン家庭が増加したことで専業主婦と核家族が増えました。戦前や戦後すぐまでは核家族は殆どなく、育児をする人が家族の中に何人もいました。そのため家庭を守るという考えは強くなく、働きに行くことが今より多かった経緯があります。
近年、フルタイムで働く女性の割合は増加しましたが、これは日本の社会の中で初めての状況ではありません。国が社会進出の取り組みを進めるのには理由があって、高齢社会の進行によって労働力人口が減るのを食い止めたいからです。働く人間が少なくなると、国民全体の所得が減少します。そうなると消費が抑えられ、デフレが進行します。また所得税などの税収が少なくなり、国家財政を悪化させます。人口問題を解決するには、高齢者の引退時期を先延ばしするのと同様に、非常に有効な手立てなのです。
女性の社会進出をさらに進めるには、育児をサポートする体制を作ることと、再就職のハードルを下げることが必要です。仕事が続けられなくなる理由の多くは、育児の必要からです。休業制度もありますが、経済的な余裕があれば数年間にわたって絶えず子供のそばに居たいものです。また、再就職をするときも満足がいく条件で働くことは非常に難しい状況です。日本の企業はまだまだ中途入社にたいして門戸を開いていません。ですが今後は改善されてくる可能性は高いでしょう。